認知症とは?
その種類と診断の重要性

認知症とは?

「認知症」という言葉はよく耳にするけれど、具体的にどんな状態なのか、ひとつの病気だと誤解されている方もいらっしゃるかもしれません。認知症は、脳の病気や障害によって認知機能(記憶、判断、思考など)が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態の総称です。

認知症を引き起こす「いろいろな原因」

認知症の原因となる病気は、実にさまざまです。代表的なものとしては、以下の疾患が挙げられます。

  • アルツハイマー型認知症

    認知症の中で最も多いタイプで、脳に特定のタンパク質が溜まることで神経細胞が徐々に壊れていきます。物忘れから始まり、徐々に進行するのが特徴です。

  • 血管性認知症

    脳梗塞や脳出血など、脳の血管の病気によって脳細胞に血液が届かなくなり、認知機能が低下します。症状が段階的に進んだり、手足の麻痺などを伴うこともあります。

  • レビー小体型認知症

    脳内に「レビー小体」という異常なタンパク質が溜まることで起こります。幻視(実際にはないものが見える)や、体がこわばるなどのパーキンソン病に似た症状が現れることがあります。

  • 前頭側頭型認知症

    脳の前頭葉や側頭葉の萎縮によって起こり、性格の変化や、社会性の欠如、同じ行動を繰り返すなどの症状が目立ちます。

これら以外にも、甲状腺機能低下症や慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など、治療によって改善が見込まれる認知症もあります。このため、「認知症かな?」と思ったら、まずは医師の診察を受けることが非常に大切になります。

なぜ「検査」が大切なの

認知症の正確な診断には、専門的な検査が欠かせません。その理由は大きく分けて二つあります。

  • 1. 原因疾患の特定

    上で述べたように、認知症には多くの原因があります。どのタイプの認知症なのかを特定することで、それぞれに合った治療法やケアの計画を立てることが可能になります。特に、治療可能な認知症を見逃さないためにも検査は重要です。

  • 2. 適切な治療と支援の選択

    検査によって認知機能の低下の度合いや、現れている症状の原因が明らかになります。これにより、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善、リハビリテーション、介護サービスの利用など、ご本人様やご家族にとって最適な支援を選ぶことができるようになります。また、認知症に伴う記憶障害などの「中核症状」よりも、「BPSD(行動・心理症状)」と言われる徘徊や暴言などにより、ご本人やご家族が困っている場合にも薬物療法や介護サービスの利用などが有効であることがあります。

神経内科外来よりメッセージ

当院では、問診や認知機能検査、脳の画像検査(院内ではCT、必要時には他院に依頼しMRIや脳血流シンチグラフィー)などを組み合わせて診断を行います。認知症一歩手前の軽度認知障害や軽度のアルツハイマー型認知症が疑われる場合、ご希望があればさらに詳しい検査ができる医療機関にご紹介することもあります。そして、診断結果に基づき、最適な治療とサポートを提案します。

「認知症かもしれない」という不安を抱えている方は、どうぞお一人で悩まずに、まずは医師にご相談ください。早期に適切な診断を受け、必要な支援につなげることが、ご本人にとってもご家族にとっても、穏やかな毎日を送るための第一歩となります。

認知症については、神経内科外来にご相談ください。